終戦からちょうど一年後の1946年8月15日、中原淳一(1913-1983)は自身が編集長を務める『それいゆ』を創刊すると、ファッション、インテリア、雑誌編集、イラストレーションなどの領域を大きく超えたマルチクリエイターと呼ぶべき多彩な活躍を果たしました。
人々は夢も希望も忘れ、未来や幸福について考えるより、生きることに必死な時代でした。「再び人々が夢と希望を持って、美しい暮らしを志せる本をつくりたい」と、中原が見えない未来に光を灯すような思いで手がけた仕事の数々は、女性たちの圧倒的な支持を得て、後生のクリエイターにも大きな影響を与えていきます。
中原の生誕111周年を記念する本展では、『それいゆ』、『ひまわり』、『ジュニアそれいゆ』、『女の部屋』などの雑誌での仕事のほか、アーティストとして生み出した絵画や人形などの作品を通じて、中原の多彩なクリエイションの全貌を紹介します。色褪せることなく輝き続けるその魅力をご堪能ください。
OUTLINE 開催概要
東京会場
会期 |
2024年6月29日[土]~9月1日[日] ※会期中、一部展示替えあり |
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会場 |
渋谷区立松濤美術館 〒150-0046 東京都渋谷区松濤2-14-14 |
開場時間 |
午前10時~午後6時(毎週金曜日は午後8時まで) |
休館日 |
月曜日(7月15日、8月12日は開館)、7月16日(火)、8月13日(火) |
主催 | 渋谷区立松濤美術館、 朝日新聞社 |
協力・監修 | ひまわりや |
企画協力 | 島根県立石見美術館 |
観覧料(税込) |
【当日券】 一般1,000円(800円)、大学生800円(640円)、 ※リピーター割引:観覧日翌日以降の本展期間中、有料の入館券の半券と引き換えに、通常料金から2割引きでご入館できます。 |
横浜会場
会期 |
2023年11月18日[土]~2024年1月10日[水] 会期中無休・事前予約不要 |
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会場 |
そごう美術館[横浜駅東口 そごう横浜店6階] 〒220-8510 横浜市西区高島2-18-1 |
開場時間 |
午前10時~午後8時(入館は閉館の30分前まで) ※12月31日(日)、1月1日(月・祝)は午後6時閉館。(そごう横浜店の営業時間に準じ、変更になる場合がございます) |
主催 | そごう美術館、 朝日新聞社、 神奈川新聞社 |
後援 | 神奈川県教育委員会、 横浜市教育委員会 |
協力・監修 | ひまわりや |
企画協力 | 島根県立石見美術館 |
協賛 | そごう・西武 |
入館料(税込) |
一般1,400(1,200)円、 ※( )内は、前売および以下をご提示の方の料金です。 |
島根会場
会期 |
2024年4月20日[土]~6月17日[月] |
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会場 |
島根県立石見美術館[島根県芸術文化センター「グラントワ」内] 〒698-0022 島根県益田市有明町5-15 |
開場時間 |
9:30~18:00(展示室への入場は17:30まで) |
休館日 |
毎週火曜日 |
主催 | 島根県立石見美術館、 しまね文化振興財団、 朝日新聞社、 日本海テレビ |
後援 | 芸術文化とふれあう協議会 |
協力・監修 | ひまわりや |
観覧料(税込) |
【当日券】 一般1,000円(800円)、大学生600円(450円)、小中高生300円(250円) 【前売券】 企画・コレクション展セット 900円 ※( )内は20名以上の団体料金 |
HIGHLIGHT みどころ
「新しい」少女のために
戦前に発行されていた雑誌『少女の友』で中原の挿絵画家としての活躍が始まりました。西洋的で、大きな瞳と細長い手足をもった中原の「新しい少女」像は、現代のアイドルのように熱狂的に支持されました。そのエッセンスは、後の少女漫画に大きな影響を与えていきます。
写真左から:「ファッションブック」(『少女の友』第30巻第8号付録) 1937年、《女学生服装帖》(『少女の友』第32巻第9号原画) 1939年
写真左から:「ファッションブック」(『少女の友』第30巻第8号付録) 1937年、《女学生服装帖》(『少女の友』第32巻第9号原画) 1939年
「美しい暮らし」のために
ファッション、美容からインテリア、手芸、文学、音楽、美術に至るまで―。美の本質を追い求めた中原の思いを雑誌『それいゆ』での仕事を中心に紹介します。表紙画やスタイル画の美しさはもちろん、斬新なページレイアウトや鋭い視点のメッセージが、今また新鮮に目を奪います。
写真左上から:《アップリケのフレアスカート》 1955年 撮影:岡田昌紘 ディレクション:Gottingham、「子供は大人のおさがりばかりで楽しく暮らす」(『それいゆ』第16号原画) 1951年、表紙原画(『それいゆ』第39号 6月号) 1956年、《SOLEIL PATTERN》(『それいゆ』第25号口絵原画) 1953年、《COLOUR and COLOUR》(『女の部屋』第1号原画) 1970年
平和な時代の少女のために
戦争によって少女時代を奪われた女性たちのため、中原は1947年に雑誌『ひまわり』を創刊します。「よき女性の人生は、よき少女時代を送った人に与えられるのではないか」と情熱をもって作られた雑誌が、新しい時代の少女たちに夢を与えていきました。
写真左から:「ひまわり夏休み手帖」(『ひまわり』第4巻第8号付録) 1950年、表紙原画(『ジュニアそれいゆ』第6号) 1955年、《花の傳説 カーネーション》(『ひまわり』第2巻第9号原画) 1948年
中原淳一の原点と人形制作
中原は少年時代、絵と読書、そして人形作りに強い関心をもっていました。10代のころにつくられた詩画集や油絵、デビューのきっかけとなった人形作品など、アーティスト・中原淳一の創作も紹介していきます。
人形 1967年
人形 1967年
中原淳一Nakahara Junichi
1913年 香川県生まれ
1926年 上京
1930年 上野広小路の高級洋品店のデザイナーに抜擢される
1932年 創作人形の個展開催
1935年『少女の友』の表紙絵を描く(以降1940年まで66回表紙絵を担当)
1939年 ヒマワリ社の前身となる洋飾雑貨と洋裁の店「ヒマワリ」を開店
1946年 女性誌『それいゆ』を創刊
1947年 月刊誌『ひまわり』を創刊
1954年『ジュニアそれいゆ』を創刊
1970年『女の部屋』を創刊
1975年『中原淳一画集』を刊行
GOODS グッズ
※展覧会場で販売される図録は会場限定の表紙で、一般流通用とは仕様が異なります(中身は同一)。
サイズ:52×52cm、生地:ポリエステル100%、日本製